
外壁塗装と屋根塗装の違い・共通点
外壁と屋根は紫外線や雨風の影響を強く受ける点は同じですが、勾配や素材、温度差により劣化の進み方は異なります。まずは役割と痛み方の違いを理解し、どちらを先に、あるいは同時に行うべきか判断材料を揃えましょう。工期や足場費の観点でも最適解が変わります。
劣化症状の違い
外壁はチョーキングや色あせ、ヘアクラック、シーリングの破断が代表的です。屋根は苔や藻の繁殖、反り、釘浮き、板金の緩み、塗膜の剥離が目立ちます。症状により下地調整や補修の手間が変わり、結果として費用や工期に影響します。
同時施工のメリット
足場を一度で済ませられるため費用の重複を避けられます。色の一体感を設計しやすく、外観の統一感も高まります。工程管理も一本化でき、近隣挨拶や騒音の期間を短縮できるのも利点です。
外壁・屋根の標準的な施工手順と注意点
具体的な作業の流れを知ると、見積書の記載や当日の進捗の良否を判断しやすくなります。ここでは共通工程と屋根特有のポイントを整理します。天候や気温で前後はしますが、重要性は変わりません。
共通の基本工程
近隣挨拶、足場仮設、飛散防止シート、高圧洗浄、乾燥、下地補修、養生、下塗り、中塗り、上塗り、検査、清掃、引き渡しの順に進みます。各層の乾燥時間と規定塗布量の遵守が仕上がりを左右します。
屋根ならではの下地処理
スレート屋根はタスペーサーで縁切りを行い、雨水の逃げ道を確保します。金属屋根はケレンで錆や旧塗膜を除去し、エポキシ系さび止めを下塗りに使います。釘浮きや棟板金のぐらつきは先にビス留めとシーリングを行います。
安全管理と天候判断
強風や雨天、朝露が残る時間帯は無理に作業を進めません。屋根は落下リスクが高いため、二丁掛けの安全帯や親綱の設置など安全対策が必須です。気温・湿度・下地温度の基準を守ることが密着不良の防止に直結します。
色選び・費用相場・業者選びのコツ
仕上がりの満足度と長期コストは、色設計と塗料選定、そして業者の工程管理力で大きく変わります。見た目だけでなくメンテナンスサイクルも踏まえ、総額で得をする選択を目指しましょう。
色と配色の考え方
面積効果で明るめに見えるため、候補色よりワントーン落として検討するのが安全です。外壁と屋根はコントラストをつけると立体感が出ます。サンプル板を屋外で朝昼夕に確認し、付帯部との相性もチェックします。
塗料と耐用年数の目安
外壁はシリコンで十年前後、ラジカルで十二〜十五年、フッ素で十五年以上が目安です。屋根は熱や雨の影響が強く、同グレードでも一〜二年短く見ます。遮熱塗料は室内環境の改善や電気代抑制に寄与するケースがあります。
費用と見積書の見方
足場は共通費で、同時施工なら重複を避けられます。塗料名、塗布量、缶数、下地補修の範囲、タスペーサーの有無、棟板金の補修可否、各層の乾燥時間の取り方を明記しているか確認しましょう。写真台帳と保証の条件も重要です。
業者選びのチェックポイント
現地調査で屋根の実測やドローン撮影を行い、劣化の根拠写真を提示できるか。工程表に天候予備日があるか。安全対策と近隣配慮の説明があるか。これらが揃う会社は総じて施工品質も高い傾向です。
同時施工か分割かの判断とメンテ計画
最終的には「足場費の最適化」「劣化進行度」「資金計画」の三点で判断します。家族の予定や季節も考慮し、無理のない工程を選ぶことで、工事中のストレスを減らし品質も守れます。
同時施工が向くケース
外壁と屋根の劣化が同程度、色を刷新して外観を一新したい、将来の足場費を抑えたい場合に適します。総額は上がっても、単価あたりでは割安になることが多いです。
分割施工が向くケース
屋根だけ先に対処が必要、ボーナス時期に合わせたい、仮設の騒音期間を短く分散したいなどの場合は分割も選択肢です。次回の点検時期を明確にし、資金と時期を計画に落とし込みましょう。
